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2025年6月11日(水)
フラッグフットボールはアメリカンフットボールが起源になって生まれたスポーツです。
大きく違うのは、タックルの代わりに相手の両腰に付けたフラッグと呼ばれる布を取ること。
接触することが反則なので年齢体格問わず楽しめる…だけでは終わらない!
2028年ロサンゼルス五輪で正式種目となり、さらに大注目のこのスポーツとチームの魅力を『湘南シーブリーズ』の島田監督に伺いました。
☆プロフィール
島田基正 さん
小学校4年生から中学までの3年間と、高校、大学生活をアメリカで送る。
現在湘南を中心に活動するフラッグフットボールチーム『湘南シーブリーズ』
の監督を務める。
関東大会に向けての七里ヶ浜浄化センターでの練習にお邪魔しました
2005年に創部して、今年で20年になります。
当時息子が小一の時、当時神奈川県立鎌倉高等学校でアメフト部の監督だった中村群司さん(現湘南シーブリーズコーチ。以下群司さん)主催のフラッグフットボールの体験教室に連れて行ったんですね。
私がアメリカにいた時のアメフト経験を群司さんに話すと、まだ息子が入部するかどうかわからないのに「コーチお願いね」って言われちゃって笑
群司さんの教え子のお子さんもちょうど小一だった繋がりで、3人でチームを立ち上げました。
最初は本当に練習場がなくて。
群司さんの口利きで半ば強引に?笑、鎌倉高校の使っていない校舎裏とか、コンクリートの中庭みたいなところを借りて練習をスタートしました。
創部の立役者中村群司さん。
現コーチで日本アメリカンフットボール協会・フラッグフットボール協会委員も務める。
地域に根ざした活動から国際的な大会まで、フラッグフットボールの普及と指導に尽力されている。
指導は熱血スタイル!
その時の部員は小学校低学年が6名、高学年が7名くらいかな。
最初は息子の小学校の子がほとんどでしたが、そこから他校にも口コミでどん
どん広がっていきました。
まずいろんな役割があるところです。
速さやパスキャッチの上手さだけでなく、作戦を考えたり相手の攻撃を分析するといった、単に運動能力の高さだけではない活躍の場面が沢山あります。それぞれに得意なことを持ち寄ってチームを強くし、ゲームを進めるので、誰でも活躍できるところです。
準備が8で試合が2と言われるくらいで、本場では分析専門のスタッフがいるほど戦術が大事な、考えるスポーツでもあります。
知的なプロセスが魅力の一つでもありますね。
試合中『ハドル』と言う作戦会議を行う。
選手たちが円陣を組み、次に行う作戦をほんの数秒で素早く確認・共有する。
作戦が書かれたボードはチームの命!
併せて他のメジャーなスポーツは未就学時からスタートする子も多く、経験者は始めた時期でのアドバンテージがあることが多いですが、フラッグフットボールはまだ新しいスポーツということもあり、1年生から始める子がほとんどです。スタートラインで経験者との差が生まれにくく、始めやすいところもありますね。
タックルが無いため男女年齢問わず楽しめる!
学年に合わせてボールのサイズ、試合コートのサイズ、一部のルールも異なる。持ってみると弾力があり柔らかい
現在「湘南シーブリーズ」の中には
湘南シーブリーズジュニア(中学生)
湘南シーブリーズサザン(6年生)
湘南シーブリーズファイン(4,5年生)
湘南シーブリーズサーフ(1,2,3年生)
の4チームがあります。
土地柄か、メンバーが『波を起こすより来た波に乗っかるタイプ』が多いという印象です。みんなガツガツしてないし、おおらかで、他のチームと比べると保護者含めフレンドリーな雰囲気があるかな。
他チームから、学年超えて仲がいいのは珍しいとよく言われますね。
今日もそうだけど人数的に学年混成チームで練習試合をすることが多いことも
あって、高学年になると自然と戦略作りや下の学年の子の指導を担うようになります。
こうしなきゃとか、こうしなさい、ではなくただただみんなでやってて楽しい、もっと上手くなりたいから子供が自発的に自主練習に誘い合う→勝つ→嬉しい!という、当たり前のことをこなすことで強くなる、いいループが生まれています。
(今日も激しい練習後に何人かは湘南海岸公園のサーフビレッジに自主練に!)
湘南シーブリーズは企業チームや社会人リーグの下部団体、学校等のバックボーンがない完全なプライベートチームなので、昔からのやり方にとらわれない自由な面もありますが、練習場に関してはいろんな方の協力を得る必要があります。
厚木にある全面フルサイズの練習場が確保ができたのは、世界大会出場に向けての準備のためにも非常に大きかったですね。
☆決して恵まれた練習環境ではない中、当時の6年生が2025年2月にアメリカ フロリダ州で行われたU12フラッグフットボール世界大会に、日本代表チームとして出場。カナダに次ぐ世界第2位の結果を納めました!
世界2位になったことで変化はありますか?
2024年12月の全国大会出場で、下の学年の子達に『自分も本当に世界に行けるんだ!』という実感が芽生えたんじゃないかなとは思います。
今まで日本一になるという目標は掲げて練習してきたとはいえ、さらに大きなところに自分も行けるんだというのをリアルに感じられたっていうのは大きかったと思います。
チームメイトの活躍を見て、また下の子が育っていくっていう環境こそが強い
チームを作っていくんだと思います。
卒業生との繋がりも大きかったです。日本代表が決まった時、高校でアメフトをやっていたり、フラッグを続けている卒業生が対戦相手として来てくれました。
外国の選手は同じ12歳でも、ガタイが全然違いますから!!
体格差のある卒業生が協力してくれたことで覚悟を持って臨めたこともよかったですね。
世界大会中、ロサンゼルス『ラムズ』の選手がきてグッズをプレゼントしてくれたりとチームを盛り上げてくれました。
国際交流という面でも子どもたちは良い経験ができたと思います。
補足:NFLは「NFL FLAG」プログラムの一環として、世界各地に専属のチームを派遣し、小学生向けフラッグフットボールの普及活動を行っている。日本展開においてロサンゼルス『ラムズ』がリーダー的な役割を担っており、大会中も現地で選手やスタッフがサポートしてくれていた
以前にもあったんですが、コロナで全ての大会が中止になり一旦途切れてしまったんです。今までは高校に上がったらアメフトに移行するという流れだったんですが、オリンピック正式種目になり高校でもフラッグを続ける選手が増えていることで再び中学生チームを結成しました。
小学校の授業にもっと広げていきたいですね。
湘南地区の小学校や鎌倉市の学童からご依頼いただき体験授業やアドバイザリー的な活動をしています。
生徒のみならず、先生方に面白さを知っていただいて、体育で取り入れたい!と思ってもらえるのが理想の流れですよね。
フラッグフットボールは2020年度より文部科学省の推奨スポーツとして
日本全国の小学校の教育現場にて展開がスタート。既に全国3割以上の小
学校で実施されている。
日本フラッグフットボール協会オフィシャルサイト
https://japanflag.org/
引き継いで監督になったのは2022年でした。
群司さんと違って私めちゃくちゃ面倒くさがりなんですが笑、保護者はじめ周りの方々がいろんな役割を担って支えてくださっています。
お茶当番はないのに、これ美味しいよって持ち寄ったり、場所確保や送迎の調整やHPの管理など自分のできることをやってくださっています。
各学年のパパコーチ同志でも飲み会を開いて異業種の交流を楽しんだり、ファミリーデーなどを年に数回行い、60人規模でわいわい食事会をしたり、応援する側の大人達も楽しんでワクワクするチームなんです
シーブリーズは人の繋がりでできています。これからもみんながみんなのために何かしたくなるような、そんなチームであり続けたいなと思っています。
そんなシーブリーズは群司さんがいなかったら存在しませんでした。感謝です!
お休みはないです笑
平日は一般企業でしっかり働いて、休日はシーブリーズに捧げております!
あえて言うなら自転車ですかね。
今日は午後厚木でジュニアの練習なので、今から自転車で移動します
三浦半島一周したこともありますよ!
どっしりと構えてみんなを見守るお父さん
厳しいけどかっこいいおじいちゃん
周りで色々お世話を焼きたがるお母さんやおじさんおばさん
いろんな個性を発揮しながら成長していく子供達
家を出てもたまに帰ってきて何かと手伝ってくれるお兄ちゃんお姉ちゃん達…
まるで家族のような『湘南シーブリーズ』
もっともっと大家族になっていくことでしょう
これからも注目していきたいです!
お子さんが現在ジュニアと小4のメンバーとして活躍中の、中村梓さん(写真左)が
偶然筆者のママ友で、家の前でばったり会ったことからこの記事が生まれまし
た!ご縁って素晴らしい…
取材アテンドからお写真提供まで本当にご協力ありがとうございました!