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2026年8月11日(火)

夏はもちろん、季節を問わず多くの人に愛されているアイスクリーム。
今回ご紹介するのは、神奈川県茅ヶ崎市でアイスクリームの製造・販売を手がける
「SOYSCREAM!!!」です。
ここのアイスクリームの最大の特徴は、土を耕さない「不耕起栽培」で収穫した大豆の豆乳をベースにつくられていること。アイスクリームには、美味しさだけではなく、これからの地球環境や社会のあり方への想いが込められています。
今回は、「SOYSCREAM!!!」を運営し、茅ヶ崎で不耕起栽培を行う「はちいち農園」を営む衣川 晃(きぬがわ あきら)さん・木綿(ゆう)さんご夫妻に、アイスクリームに込めた想いを伺いました。

「土を耕さない」不耕起栽培の畑。
衣川さんご夫妻が取り組む「不耕起栽培」は、「土を耕さない」、自然本来のサイクルを活かした農法です。土を耕さないことで、土の中に暮らす微生物などの生態系を守り、自然が本来持つ力を生かしながら作物を育てていきます。
さらに、土を掘り返さないことで、土壌に蓄えられていた炭素が二酸化炭素として空気中に放出されるのを防ぐことができるため、温室効果ガスの削減や地球温暖化の防止にも繋がるといった環境面でのメリットもあります。
一方で、自然の力を活かす方法は、大量生産や一般市場への供給には向かない一面もあると晃さんは言います。
「ある程度耕し、肥料を利用しながら管理し、同じ条件で育てることで品質やサイズのそろった作物を安定して大量に生産できます。不耕起栽培は、そこにはどうしてもまだ向かない部分があるのは現実です。」
そのうえで、衣川さんご夫妻が不耕起栽培を選ぶ理由は、「自分たちに合っているから」だと語ります。
「私たちが目指しているのは、収穫量をコントロールすることではなく、安定して作物が育つ土壌そのものを育むことです。人間が土をつくることは究極できないと思っています。土を育んでいるのは微生物や虫たちの生命の営みであり、私たちはその力を借りているだけ。大規模に食料を安定供給している農家さんから見れば、違うと思われるかもしれない。でも、どちらが正しい方法かを競いたいわけではなく、こういう選択肢があって、それが自分たちに合っているから続けているんです。」

種を蒔いてから約2週間の不耕起栽培(大豆)の畑。
衣川さんご夫妻が農業に関わるようになったのは、今から約10年前でした。
「10年ほど前に、自分が食べるものについて真剣に考えるようになった時期があって。食べるだけではなく、自分で育ててみたいと思ったのがきっかけです。」
当初は晃さんの友人のおじいさんが持っている畑を借りて、家庭菜園というかたちで始めていました。そこで行っていたのは、肥料などを使う慣行農業でした。
「はじめての農業でとても面白かった。ただ、学びながら直感的に『この方法ではなくて有機農業のほうが自分には合っているんだろうな』と思いはじめて、研修農家さんを調べていました。」
そこで、不耕起栽培を営む農家さんに出会います。これが「耕さない農法」を知ったきっかけでした。
「その人の発する言葉が面白かったんです。不耕起栽培をやっている人って変わっている人が多いと思います(笑)。なんとなくですが、普通ではない言葉を発する人が多くて、それが当時の自分にとっては面白かったんです。」
機械を使わず、耕さない。その土地の地力にも寄りますが、肥料も使わない。自分たちが知っていた「農業」という固定観念が壊れていくのが面白かったと晃さんは語ります。
不耕起栽培という農法に行き着いた背景には、衣川さんご夫妻の物事に対する考え方もありました。何かを選択し行動を起こす時、お二人は常に社会や時代の流れを意識し、自分たちの生き方とすり合わせて決めていると言います。
「30年前だったら不耕起栽培は選んでいなかったかもしれない。僕らは常に社会と対峙して自分たちの行動を決めてきていて。僕の本心だけというより、本心と時代が求めていることが調和した方法だったから選択したんだろうなと思います。」
戦後は食糧難だったため化学肥料により国民の食料を大量生産することが目下の課題だった時代。それから時が流れ、地球温暖化をはじめとする環境問題が浮き彫りになっている現代―。時代の変化と不耕起栽培という農法が見事にはまった結果でした。

バニラフレーバー。コーンはおからと米粉でつくっている。
不耕起栽培をはじめて3年ほど経ったころ、不耕起栽培を世の中に普及させていきたいという想いがより強くなったと晃さんは言います。
「やっぱり環境問題のことがずっと気になっていて。栽培がしっかりできるようになってきて、環境問題へ能動的にアプローチするためにはどうすればいいだろう?と考え、環境や農業の歴史を勉強し始めたんです。その中で『不耕起栽培の土壌を少しでも増やしていけたらな』と思うようになりました。」
「どれだけ環境に良い農法でも、生産性が低くお金になりにくければ、不耕起栽培の農家さんは増えない。だから、不耕起栽培を営む農家さんの生活を支えられるような仕組みをつくりたいと思ったんです。」
模索する中でたどり着いたのが、「大豆」でした。
「大豆は育てやすく、多くの土地で栽培が可能です。『この土地でしか育たない作物』では広がりがないと思ったんです。さらに、生のフレッシュな野菜をそのまま届けるよりも、保存が利くものの方が届ける側も受け取る側も安心ですから。」
そして、「大豆をどう届けるか?」を考える中で、衣川さんご夫妻はアイスクリームにたどり着きました。
「農家さんから大豆を高価格で買い取ることができ、需要が高いものにしたい……。そう考えたときに行き着いたのが『アイスクリーム』だったんです。」
商品化にあたって何より大切にしたのは、「環境に良いから」という義務感ではなく、「純粋に美味しいから選んでもらうこと」だと木綿さんは語ります。
「アイスクリームもいろいろな作り方がありますが、多くは牛乳を使います。それを豆乳に置き換えると脂肪分が少なくなるため、濃厚さを出すための工夫が必要でした。もちろん濃厚さを出すための副材料はたくさんありますが、不耕起栽培で作物を育てていることもあって、添加物などではなく『なるべくみんなが普段から食べている、身近なスーパーで買えるような材料』でつくることにはこだわりました。そして何より、普段牛乳のアイスクリームが好きな人たちにも『美味しい!』という理由で選んでもらいたかったんです。」
こうして、約1年試行錯誤し、SOYSCREAM!!!が誕生しました。
商品が誕生してからは、まず環境問題に本気で取り組んでいる企業との協業からスタートしました。
「はじめは環境問題への危機意識の高い企業さんにサンプルを食べてもらい、僕たちの目指す世界観を共有していきました。工房の準備を進めながら、企業のカンファレンスや、社内イベントなどでアイスを提供していました。」
最初はキッチンカーやイベント出展からスタート。その後、テイクアウトを展開。ECサイト立ち上げの際にはクラウドファンディングにも挑戦しました。

ECサイトでの購入も可能(6個セット/12個セット)
そして2025年4月、茅ヶ崎市に店舗をオープンしました。

古民家を改装した店舗。外観はピンクでPOPな印象。

木の優しさに包まれる、ホッと落ち着く店内。
「SOYSCREAM!!!」が目指すのは、アイスクリームを通じて、地球温暖化という大きな課題にインパクトを与えること。環境問題が浮き彫りになっている今、時代の変化とともに農業に対する価値観も変化が必要だと晃さんは考えています。
「環境問題は、社会全体で取り組むべきテーマです。社会にインパクトを与えていくために、多くのアイスクリームが消費される必要があります。今後はそのスピード感を早めていけたらと思っていて、企業さんへのアプローチをさらに強化していきたいと考えています。」
衣川さんご夫妻が目指しているのは、自分たちの活動がいかに地域や社会の中に優しく溶けていけるか、既存の価値観を柔らかく溶かしていけるかです。物事を「良い・悪い」のように白黒つけるのではなく、濃淡のある「グラデーション」として捉え、周りの環境や社会と調和していく方法を考えつづけること。そのしなやかさを大切に、「今の時代だからこそ、この地球に不耕起栽培が必要だ」という確かな軸を持って、お二人は実行し続けています。
時代と対峙しながら、自分たちの想いを体現して生きる。
「SOYSCREAM!!!」が届けるのは、美味しいアイスクリームであると同時に、地球をより良くしていきたいというお二人の想いが溶け込んでいます。
ぜひ、みなさんも食べてみてください!

店舗限定で贅沢な「パフェ」も!
こちらは、コーヒー/チョコ/バニラフレーバーのアイスが味わえる。
店舗名: SOYSCREAM!!!
住所:〒253-0001 神奈川県茅ヶ崎市赤羽根 2498−8
営業時間:毎週土日 12時~17時
公式サイト:https://ec.soyscream.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/soyscream_japan/
※2026年7月時点の情報です。
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